【加筆再掲】[2020年6月]「富岳」がスパコン世界ランキングで8年半ぶり世界一、世界初の4部門同時世界一

科学
富岳が2期連続でスーパーコンピューター(スパコン)1位になったとの記事を見たので、初めて1位になったときの情報を再掲します。このサイトで試しに作った最初の記事で、文章が全くない状態でしたので冒頭加筆してみます。
ソース: 理研・富士通のリリースと4つのスパコン性能ランキング(TOP500, HPCG, Graph500, HPL-AI)の説明、証書、結果。富岳に関する「記者勉強会資料」。用語: 理化学研究所 計算科学研究センター、スーパーコンピューター、富岳。テネシー大学ジャック・ドンガラ博士の富岳レポート(英語PDF)

ニュース:

2009年~ 事業仕分け→スパコンを一般に説明する時代に

下記「富岳に関する記者勉強会資料」にPDFの資料+Youtubeの講義があり、一般メディアなどにしっかり説明する機会が設置されています。なぜスパコンが速いのかから説明しています。

ニュースとしては一般紙は日本勢8年半ぶりと言う記述が目立ちます。悪名高い「2位じゃダメなんでしょうか」の事業仕分けが2009年であったことを考えると、2011年にTOP500で1位になった「京」は時期的に日本のスパコンや科学技術にとって重要な役割を果たしたとも言えそうです(順位の変遷はWikipediaの概要で詳しく書いてくれています)。一応のちの蓮舫議員本人の言い分をそのまま言うと「なぜ1位なのかその意義を説明してもらおうとしたが、何も反応がなかった」みたいなことは言ってました。まあこの分野は1位目指してないとトップクラスにも入れないとは思いますが。ただそこで何も説明できない文科省の人も大問題で、当時そこそこの役職の官僚が事業仕分けの応答をしていて現場の感覚まではわからなかったみたいです。「上役たちがあんなにダメだとは」と若手官僚が感じていたと言う話を確か辛坊治郎さんがいってたような。そこは官僚組織自体の別の問題があるような気はします。

でも当時のおかげで、スパコンが科学者たちにとって根幹をなすほどの大事なものであることが、学者たちの記者会見などで世間に知られ、科学者たちもこれは世間に説明していかないといけないんだ、と言う共通理解ができたように思います。いま富岳が成果を広報し続けているのも、当時のことがあってスパコンの意義を数多くの人に知ってもらわないと日本の科学が弱くなってしまうと言う危機感があると感じています。私たちも当時は今よりもはるかに理解できていなかったのは事実で、それが日本の科学力や経済力に響いてしまうとは、スパコンに限らずこういったことがたくさんあるんだろうなと、感じることができる事例になりました。

では、当時集めたソースを下に並べます。

主要メディア

ITメディア

「富岳」飛沫予測動画

理研のリリース:

リリース要約

富士通のリリース: 

リリース要約

  • 上記理研のリリースと大方同じ (むしろこちらのほうが先。翌日6/23のリリースはGraph500が加わったため)
  • TOP500, HPCG, HPL-AIの3つのランキングの解説がわかりやすい

4つのランキングについて:
TOP500, HPCG, Graph 500, HPL-AI

1, 2, 3のソースは理研と富士通のリリース: 簡潔でわかりやすい

  1. TOP500: 計算能力と信頼性を総合的に示していると言われている。年2回発表
    LINPACK = 行列計算による連立一次方程式の解法プログラムの実行性能のランキング。倍精度浮動小数点数の演算能力を測る (多くの科学技術計算や産業アプリで使用) 1993年発足
  2. HPCG: 共役勾配法(産業利用などでよく使われる計算手法) 2014年発表
  3. HPL-AI: 人工知能計算で使われる計算能力を加味した計算性能を評価する指標
  4. Graph 500: グラフ解析 [理研解説]

富岳に関する記者勉強会資料: 

6/17 理化学研究所 計算科学研究センター 記者勉強会 [理研リリース]
「スーパーコンピュータのランキング /「富岳」を利用した新型コロナウイルス研究」

  • 6/22にスーパーコンピューターのランキングが発表されるのに先立ち、 それぞれのランキングはどの側面を評価するのかが説明された
  • すでに4/7 理研が文科省と連携し新型コロナウイルス対策に貢献する研究開発に対し「富岳」の一部計算資源を供出と発表 
  • 発表内容:
    1. スーパーコンピュータのランキングについて [pdf]
    2. 新型コロナウイルス関連タンパク質に対するフラグメント分子軌道計算[pdf1, pdf2]
    3. 室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測とその対策 [pdf]
    4. パンデミック現象および対策のシミュレーション解析 [pdf]

5/15 理化学研究所 計算科学研究センター 記者勉強会 [理研リリース]
「 『富岳』の特徴とSociety5.0への貢献 / 『富岳』を利用した新型コロナウイルス研究

  • スーパーコンピュータ「富岳」の特長と Society5.0 への貢献 [pdf, youtube39:41]
  • 「富岳」による新型コロナウイルスの治療薬候補同定 [pdf]
  • 「富岳」を用いた新型コロナウイルス表面のタンパク質動的構造予測 [pdf, youtube18:01]
  • パンデミック現象および対策のシミュレーション解析 [pdf, youtube15:44

用語ほか(ドンガラ博士の富岳レポート[英語]も)

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